歯の豆知識

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症状がなくても行かなきゃだめ?定期健診を受けるメリット

こんにちは。横浜市磯子区の歯医者「やまざき歯科医院」です!

歯科医院というと何らかの歯科疾患の治療をするというイメージをお持ちの人が多いと思いますが、歯科医院は治療をするだけでなく、歯科疾患にならないよう予防するために行く場所でもあります。この記事では各国と比較した日本の定期健診受診率の現状や、歯科医院で定期健診を受けるメリットをご紹介します。

 

症状がなくても歯科医院に行く必要はあるの?

 

「何も症状がないのに歯科医院に行く意味ってあるの」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、治療を最小限で済ませ、一生涯自分の健康的な歯で食事を楽しみたいのであれば、歯科医院の定期健診は非常に大切です。虫歯や歯周病は身近な歯科疾患ですが初期症状がないケースも多く、自分では進行していることに気づけないこともあります。

 

「日本は歯科予防の意識が低い」は本当か

 

国民の予防歯科に対する意識が低いことを示すものとして、各国と比較すると歯科検診の受診率が低いという事実があげられます。2020年の日本歯科医師会の調査報告によれば、日本国民で歯科医院に通院している人は約44%ほどと半数にも及ばないものの、歯科先進国では70%前後が維持されています。さらに、高度な知識や技術があるものの、80歳時点での平均残存本数も15本と、スウェーデンやフィンランド、アメリカなどの歯科予防先進国が25本なのと比較すると10本もの差があるのです。平均残存本数にこんなにも差が出てしまうのは、歯科医院の定期健診の受診率が影響しているといえるでしょう。こういった状況から見ても、日本の予防歯科に対する意識は低いと考えられます。

 

定期健診にいくメリット

 

歯科医院の定期健診を受けることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

①歯科疾患の早期発見、早期治療ができる

 

定期健診に行くことで得られる大きなメリットは、虫歯や歯周病といった歯科疾患を早い段階で見つけることができるという点です。虫歯や歯周病は多くの人がかかってしまう身近な病気ですが、痛みや腫れなどの症状や目視でわかるほどの異常が出るまで気づけないケースも少なくありません。早期発見できれば治療も早い段階で行え、進行を食い止めて抜歯などの最悪なケースを回避することができます。初期段階であれば簡単な処置で済むので、心身の負担も減らせます。歯を削らずに済むことも多いので、歯に対する負担もほとんどありません。

 

②生涯的に見た医療費を減らせる

 

歯科医院の定期健診は別名「予防歯科」といわれますが、日頃から定期的に健診をしっかり受けていれば起こりやすい歯科疾患や症状を未然に防ぐことができます。いわばリスク回避です。虫歯や歯周病は進行も早いため、放置して重症化してしまうと最悪の場合心臓疾患や糖尿病、脳梗塞などの全身疾患に繋がります。こういった病気を併発してしまうと治療費もどんどん大きくなってしまい、金銭面の負担が辛くなります。しかし未然に防ぎ、リスクを回避できれば生涯的に見た治療費を軽減することができます。「定期健診のお金がもったいない」と目先の支払いを渋るのではなく、長い目で見て考えましょう。

 

 

③治療後も経過観察してもらえる

 

虫歯や歯周病、何らかの炎症などにより歯科医院で治療をする人は多いと思います。しかし治療をした後も油断はできません。後で解説しますが、虫歯は二次虫歯と呼ばれるように再発のリスクもあり、治療後の経過観察もとても大切です。特に一度治療した場所は「もう大丈夫だろう」と患者様も油断してしまいがちです。治療した箇所を気にすることも少なくなる傾向にあります。しかし、定期健診を受けていれば、健康的な歯を含め治療した場所に異常はないかなど、全体的にチェックしてもらえるので、トラブルが起きていても時間を置かずに対処してもらえます。

 

④修復治療の異常やトラブルに気づいてもらえる

 

虫歯治療を行う際、詰め物や被せ物で修復治療を行います。詰め物や被せ物も長く使っているとすり減ったり隙間が生じたりと、トラブルも起こりやすくなります。こういった修復治療をした歯の異常やトラブルは自分では気づけないので、歯科医院で見つけてもらえるのは定期健診の大きなメリットです。目視でわからない場合は、レントゲン撮影で内部まで診断することもできます。修復治療後のトラブルを放置してしまうと、歯科疾患の再発に繋がるので早めに治療することが重要です。

 

⑤自分では除去できないプラークや歯石も綺麗に除去してもらえる

 

定期健診ではクリーニングが行われることが多く、毎日のセルフケアでは除去しきれない汚れまで綺麗にしてもらうことができます。細菌の塊のプラークや、プラークが石のように固くなってできる歯石を専門的なケアで綺麗にしてもらえるのは歯科疾患の予防にかなり効果的です。特に歯石はプラークが深部に残ってしまうとたった2日ほどで歯石になってしまい、歯石は自力で除去することは不可能です。気づかぬうちに歯肉炎や歯周病を引き起こし、あっという間に進行してしまいます。そうならないためにも定期健診を受けてプラークコントロールを行い、お口の中を清潔に保つことが重要です。

 

歯科医院の定期検診はどのくらいの頻度で行く?

 

定期検診は2〜3ヶ月に1回の通院頻度(定期検診)が望ましいです。とはいえ、虫歯や歯周病になりやすい人は、リスクも高くなるため高い頻度で通うことが重要になります。逆に状態が良く健康的な人は半年に1回でOKといわれるケースも少なくありません。一般的に高齢層は通院頻度が高くなる傾向があるとされています。

 

虫歯や歯周病は気づきにくく進行も早い?

 

歯科疾患といえば歯周病や虫歯が身近です。それぞれの特徴をしっかり把握しておくことで「ちゃんと定期検診を受けなきゃ」という意識も芽生えるはずです。

 

*「虫歯」は痛みがないことも。二次虫歯にも注意

 

虫歯というとズキズキと痛むというイメージが強いと思いますが、痛みがないケースもあります。特に初期段階の虫歯は痛みがないことがほとんどなので、自分で発見することは難しくなります。気づいたときには根管治療、さらに進行して神経が死んでしまうと抜歯が必要になり自分の歯を失うことになるというケースもよくあることです。虫歯は正しい処置をせずに放置してしまうとあっという間に進行してしまいます。定期検診を受けて早期発見早期治療に努めることが重要です。また、一度虫歯になって治療をした歯が再度虫歯になる「二次虫歯」にも注意する必要があります。二次虫歯は通常の虫歯よりも内部で発生するため特に気づきにくいのです。二次虫歯を予防するためにも定期検診を受けることは大切です。

 

 

*国民病といわれるほど身近。でも「歯周病」は自覚症状がないことがほとんど

 

日本国内における成人の約8割がかかっているといわれるほど身近な歯周病ですが、沈黙の病気と呼ばれているほど、自覚症状がない疾患です。初期状態において自覚症状がないのはもちろん、進行した場合でも歯茎が腫れたり痛む程度の症状で済むことが多く、気づかぬうちに進行してしまう恐ろしい疾患です。気づいた時には抜歯が必要というケースも多く見られます。歯周病は全身の健康にも害を及ぼすので、歯周病も予防していけるよう定期検診はきちんと受けましょう。

 

まとめ

当院では予防歯科にも力を入れており、みなさまの健康的な生活を維持するためのサポートをさせていただきます。これまで通院していなかったという人も、この機会にぜひ歯科医院に通うようにしてみてください。みなさまのご来院をお待ちしております!

 

監修 歯科医師 宮本