歯の豆知識

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定期健診で行う予防処置とは?

こんにちは。横浜市磯子区の歯医者「やまざき歯科医院」です!

 

日本は世界の歯科先進国と比較すると定期健診の受診率が低く、予防歯科の意識が低いと言われています。しかし、最近は「症状が出る前に歯科医院にいく」ということが重要視され、予防歯科に対する取り組みが日本国内でも高まってきています。

定期健診では、お口の中の健康状態をチェックするだけでなく、歯科疾患予防のための処置も行われます。この記事では、定期健診で行う予防処置について詳しく解説します。

 

定期健診ではなにをする?

 定期健診では、歯茎の健康状態、歯周ポケットの深さのチェックなどが行われるほか、歯列の状態や噛み合わせのチェックも行われます。虫歯や歯周病などの頻繁に起こりやすい歯科疾患がないかどうかをレントゲン撮影などを用いた検査や診察を通してみていきます。歯をはじめ、お口の中の健康状態を広く確認してもらえるので、自分の歯を守り、健康的な生活を送るためには定期健診を受けるのは非常に重要なことです。

定期健診では、健康状態のチェックだけでなく、各予防処置や指導も行われます。では具体的にどんな予防処置があるのでしょうか?

 

主な予防処置の種類と効果

歯科医院によってどんな予防処置があるのかは少々異なりますが、主に下記のような項目があります。

 

フッ素塗布

フッ素塗布は別名「フッ化物歯面塗布」といわれ、高濃度のフッ素が配合された薬剤を歯面に塗布することで虫歯の予防効果を高めます。フッ素には細菌による酸の働きや歯の脱灰を抑制し、歯の再石灰化を促進させる効果があります。フッ素塗布は、永久歯だけでなく乳歯にも適応できるため1歳児から成人まで予防処置として受けることができます。歯の表面に直接フッ素を塗布することで、虫歯に対する抵抗力を強くする方法ですが、歯科医院だけでなく、保健所や区市町村保健センターでも行われています。歯磨き粉や洗口液など、自宅で使用できる市販品のフッ素濃度が約900〜1,450ppm※なのに対し、歯科医院で使われるフッ素は9,000ppmとかなり差があるため、より高い予防効果を期待できます。

 

※セルフケアで使用できる市販品のフッ素濃度は1,500ppmまでと法律で定められています。

 

フッ素塗布の処置にもいくつか手法があり、特徴は下記の通りです。

 

①歯ブラシ法:

ジェル状の薬剤を、歯ブラシを使って毎日行う歯磨きと同じように歯面に塗布する手法です。

②綿棒・綿球法:

溶液タイプの薬剤を使って小綿球や綿棒に浸し、歯面にフッ素を塗布していく手法です。

③トレー法:

患者様ひとりひとりの歯列に合わせたトレーや既製品のトレーを使って、そこに溶液タイプの薬剤をのせて歯に接触させる手法です。

 

フッ素塗布が完了した後はできるだけ唾液を飲み込まず吐き出してもらい、飲食やうがいは30分ほど控えていただきます。

 

フッ素塗布は1回受けるだけでは十分な効果を得ることはできないため、年に2回以上の頻度で受けることが推奨されています。年に2回以上継続的にフッ素塗布の処置を受けた場合、永久歯の場合で20〜30%ほど虫歯を減らせるという効果もあり、乳幼児の場合は半分にまで虫歯を減少させることができるそうです。フッ素塗布を希望する場合は、あらかじめおうちで歯磨きをしていきましょう。お子さまのフッ素塗布を行う場合は保護者の方が仕上げ磨きをしてあげましょう。

 

クリーニング

歯医者さんで行う歯のクリーニングは主に、予防処置や歯周病の治療、審美的な目的で行われます。歯石の除去や感染物質の除去のほか、歯の表面についた着色汚れやバイオフィルムなどの細菌も専用の機器を用いて除去してもらうことができます。セルフケアで毎日しっかり歯磨きをしてお手入れしていても歯間部や歯茎と歯の溝や隙間には毛先はとどきにくく、汚れが蓄積されてしまいます。歯科医院で定期的にクリーニングを行うことで、こういった除去しにくい場所の汚れもきれいにしてもらうことができます。さらに、着色や細菌を除去するだけでなく、クリーニング後は歯の表面がツルッとするので、細菌も付着しにくくなります。

 

クリーニングは保険診療のものと自費診療のものがあり、保険適用のものは治療のための処置なので歯石除去と同じ扱いになります。一方で自費診療の方はPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)と呼ばれ、徹底した歯面清掃が行われます。保険診療で落とすことができない強固な着色汚れも落とすことができます。自費診療をおこなっていない歯科医院もあるので、自費診療でよりお口の中を綺麗にしてもらいたい方は、歯科医院の公式ホームページでしっかり確認してください。

 

歯石除去

歯石除去は、主に歯周病の治療として行われる処置で、保健診療のクリーニングと同じ意味を持ちます。プラークの状態であればセルフケアで落とすことはできますが、プラークは石のように固まってしまうと歯石になり自力で落とすことができなくなります。つまり歯石は歯科医院で専門的な処置を行うことでしか落とすことができないのです。歯の表面や歯茎の間に存在する歯石や感染物質を除去し、歯周病の進行を食い止めます。

 

*歯石除去は痛い?

歯石除去を行う際、歯周病が原因で痛みを感じることがあります。歯周病は歯茎が炎症を起こすことではじまる歯科疾患ですが、進行すると歯を支えている骨が溶かされどんどん少なくなっていきます。歯石除去を行う際、機器や道具が炎症を起こしている歯茎に触れるので痛みを感じることがあります。そのほか、虫歯や知覚過敏があると、刺激を感じて痛むこともあります。稀に処置後に痛むことがありますが、これは大体一過性のもので自然とおさまってきます。痛みが長引く際は歯科医院に相談しましょう。

 

ブラッシング指導

予防処置のひとつとして、おうちでもできる正しいブラッシング方法を歯科衛生士が指導してくれます。歯並びやお口の中の状態はひとりひとり違うため、効果的に歯磨きを行えるように指導してもらうことで予防効果も高まります。ブラッシング指導と聞くと子どもが受けるというイメージを持つ方も多いと思いますが、ブラッシング指導の対象は子どもから大人までです。大人の方でも、磨けているつもりでも正しく磨けていないケースはたくさんあります。ただ磨くだけではなく、磨けているということが重要です。歯科衛生士がわかりやすく指導してくれるので、これまで磨き残しが多かった箇所もしっかり磨けるようになります。

 

食育指導

管理栄養士が在籍する歯科医院では、食育指導も行われています。食生活は歯科疾患に影響するだけでなく、お子さまの歯並びにも影響します。やわらかいものばかり食べていると顎の発達が不十分になり、歯列が乱れる原因になります。正しい食育指導を受けることで、健康な体づくりや歯並びに繋がります。また、間食の頻度や選び方なども教えていただけます。

 

当院の定期健診

 当院の定期健診(管理)では、患者様の希望に応じて歯科衛生士の担当制を導入しております。担当制にすることでより患者様ひとりひとりの状態を細かく把握し、些細な変化にも気づけるようになります。お口の中の状態には個人差があるため、それぞれにあった指導や処置をご提案させていただきます。みなさまのお悩みや要望に真摯に向き合い、より適した治療や処置、指導をさせていただきます。詳細は下記の公式ホームページから確認できるのでぜひご覧ください。

 

定期健診の詳細はこちら▼

https://www.dental-yamazaki.com/treatment/regular.php

 

まとめ

定期健診はお口の中の現状を細かく診てもらえるだけでなく、歯の健康を守るための予防処置もしてもらえます。定期健診の理想的な頻度は3ヶ月に1回ほどと言われていますが、歯科疾患になりやすい人はもっと高頻度で通うことが推奨されます。逆に健康状態が良好で歯科疾患のリスクが少ない方は半年に1回ほどでも問題ないと指示があるかもしれません。定期健診に行った際は不安や悩み事、気になることはなんでも聞いてみましょう。

 

監修 歯科医師 宮本